ステキな彼女と知り合いになった
僕は、彼女ともっと親しくなりたいと思った
幸いなことに 僕にはお金だけは あり余るほどある
幸いなことに 僕はアイドルとまではいかないけど
そこそこのルックスがある
僕は まずヘマさえしなければ うまくいくはずだと確信した

ある日、彼女が嬉しそうに友人と話しながら歩いているのを見かけた
彼女は、自分の持っているブランドのバッグを指して笑っていた

ーーーああ そうか
   彼女はブランド物がすきなんだ

僕は 彼女にブランドのバッグをプレゼントした

「なに、これ?」
「プレゼントだよ」
「なんで?」
「プレゼントしたかったから・・・」
「意味のない物、もらうつもりないから」

僕は 焦った
「いや・・君に喜んでもらいたくて・・」
彼女は、訝しそうな目つきで僕を見ている
「こんな物、突然もらって誰が喜ぶ?」
「・・・ごめん・・・」

僕は すごくしょげていたのだと思う
彼女が すまなそうな顔をして付け加えた
「人に喜んでもらいたいからって、物を与えるってとこに、
飛びつくあなたの気持ちがわからないの、ごめんね」

でも、彼女は絶好するとは言わなかった

ある日、
僕たちの飲み会に彼女が友人と一緒に参加した
彼女は、自慢げに小さな人形を友人に見せていた
そして、彼女は瞳をうるませていた
上気した彼女の頬が、ピンク色に染まっていて
僕は、しばらく魅入っていた

ーーー僕のプレゼントで 彼女があんなに喜ぶところをみてみたい

だから
僕は、美しく着飾って小さいけれどとても高価な人形を買った
そして、彼女に渡せる機会をずっと待っていた

その日がきた

合同コンパのお誘いが来た
彼女も参加するという
僕は、人形をポケットに入れていそいそと出かけた

彼女がいた!
彼女と僕の目があった
彼女は、にっこり微笑んで
「お久しぶり! 元気だった?」
「うん、まあまあだね」

コンパが終わった。
僕は、やっぱり彼女と二人っきりになった
ーーー不思議なんだけど
   終わりの時は 僕たちは いつも二人っきりになる
   ほんと 不思議なんだけど

僕は どきどきしながら人形を渡した
彼女は、一瞬、瞳を輝かせた
彼女は、確かに嬉しい表情をした
彼女の唇が「かわいい」と、言ったような気がした

きっと、彼女は言う「ありがとう」って

でも・・彼女は言った
「なんで? なんでくれるの?」
「!?」
僕は、言葉を失った」
ーーーなぜ、ありがとうって言わない
ーーーなぜ、かわいいねって言わない

彼女は、じっと僕の顔を見ていたが
人形を僕の手の中に押し入れた
「理由がないから いらない」
彼女は、走り去った

僕は、その場に立ち尽くしていた

彼女は、ブランドのバッグを貰って あんなに喜んでいたのに
彼女は、あの見栄えのしない人形を貰って 頬を上気させて喜んでいたじゃないか・・・
なぜ
僕からのプレゼントは受け取らない・・・?
僕は、地団太踏んでいた


僕は とても悔しかったから
彼女がいつも一緒にいる友人に聞いた
   その友人にたどり着くまでが大変だったのだが・・・
「で、あなたは、彼女にプレゼントをもらってほしいと、思っているってわけなのね」
「・・そう・・」
--------この友人は苦手だ
   ずけずけと聞いてくる
「で、なんで、彼女が受け取らないか、その理由を知りたいのね」
「・・そう・・・」

友人は、僕の顔をじっと見ている
僕は、すごく無様になった気がして、どうしてここまできてしまったのか、
わからなくなってしまった
「ふーん・・・わからないんだあ」
「・・・そう・・・」

「あんたって、ほんと、ばかね」
「・・・」僕は、あんまり怒るほうじゃないけど
さすがに、その友人の言葉には腹がたった
「もう いいです」
僕は 立ち上がった
「まあまあ、座んなさいよ」
友人は、きっと僕より年下なはずなのに、めちゃくちゃ偉そうだ
「あんたさぁ、彼女のこと どう思ってるの?」
「はあ・・・プレゼントして彼女が喜んで・・・」
「ふうん、それだけなんだ。それだけでいいんだね」
「・・・はあ・・と、思いますけど・・」
ーーーなんで、僕は、この生意気な友人に敬語を使っているんだ?
「そんなんじゃ、彼女にプレゼントするの無理だね」
「どうしてですか? 彼女、ブランドのバッグ貰って喜んでいたじやないですか? 
安そうな人形貰って喜んでいたじゃないですか?」
友人は、また見下したような目つきで僕をみた
僕は、また立ち上がろうとした
「彼女がさ、なんでコンパなんかに顔出すと思ってるの?」
唐突に友人が問いかけたので、僕は立ち上がり損ねた
「さあ」
「私が、誘うからよ。彼女、あんまりああいう処好きじゃないのよね」
「はあ・・」
「それに、彼女は、あんたたちのグループのコンパだけは、特別に行きたいわけがあるのよ」
「?」

しばらく、友人は、僕の顔を覗くように見ていたけれど、
そのまま、言葉を閉じた。
僕は、立ち上がった
友人も立ち上がった
そして、一言僕に言った

「あのもらい物は、感謝のプレゼント。
ブランドでも、汚い人形でも、彼女にとっては同じ心のこもった意味のあるプレゼントだったってこと。
この意味わかる?」
--------ほんと、嫌な奴。
    汚いってところ強調した。僕へのあてつけだ

「・・・?・・・わかりません」僕は、ぼそりと答えた
友人は、ため息をついて、僕の前を通り過ぎて行った

結局、僕は、その友人に馬鹿にされるために
ここまで来たようなものだった
-------ああ、くたびれた

あれから2ヶ月、僕は、もう彼女のいるコンパには出なくなった
いつもすごく会いたいと思っていた
でも、あの友人の馬鹿にしたような目つきには耐えられない


ある日、とても暑い日に、僕は、通りすがりにおばあちゃんの荷物を持ってあげた
あんまり重そうで辛そうにおばあちゃんが荷物を持っていたので
見るに見かねて手伝っただけだった
汗をかきかき、
ついついおばあちゃんの家の前まで送ってしまった
おばあちゃんは言った
「ありがとう。ほんとにありがとうね。これ食べて帰りなさいね」
おばあちやんは、大きな梨をくれた
あんまり暑くて喉が渇いていたので
僕は、梨にかぶりついた
そして大声で言った
「うまい! うまいねえ、おばあちやん。ありがとう」
おばあちゃんは、しわくちゃの顔でにっこり微笑んだ
僕は、すごく嬉しかった
僕は舞い上がるような心で喜びを感じていた


帰り道、ふと、僕は思い出した
彼女の上気した頬を・・・
友人の言った言葉を・・・


僕は、友人のところに駆け出していた
僕はわかったのだ


僕は、プレゼントする前に、彼女に言わなければいけなかったことを思い出していた
「君のことが好きなんです」と・・・
             
                           ・・・どうか間に合いますように・・・

僕の忘れ物

makoの小説の部屋より
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